前職で基本構想まで携わった、松本市のS邸。この度無事竣工を迎え、見学会が行われるということなので、現地を訪ねて来ました。
建物は街道沿いに建つ、築100年の土蔵造りの町屋。長年の間に色々と不具合が生じていましたが、耐震補強と改修を行い生まれ変わりました。特に気になっていたのが、1階から2階へ上がる階段。建築当初は囲炉裏の煙出し(吹抜)であったそうですが、その後の改修で床を張り物置になっていました。構造的な制限もあり、計画の初期段階ではこの部分の活用方法が定まらず困っていたのですが、階段室に転用することを思いついてお施主さんに提案した所、たいへん気に入って頂いたという経緯があります。
現地に足を運ぶとイメージ通りに1階と2階を緩やかにつなぐ役割を果たしており、自分の発想が間違いでなかったと感じることができました。久しぶりにお会いしたお施主さんと昔話に花を咲かせ、現地を後にしました。