飯田市で珍しい工事が進んでいます。「曳家(ひきや)」といって既存の建物を持上げて移動させる工事です。
Y邸は築30年ほどの住宅。先代のご当主がこだわって土壁で建てた伝統建築です。目の前の道路の拡幅計画があり、思いの詰まった建物を何とか残すために曳家という手法を採っています。かつては曳家が出来る職人さんは各地方にいたそうですが、現在は長野県内で3社ほどに減ってしまいました。貴重な現場風景です。
職人さんが丁寧に引いたレールの上を、コロに載った建物が少しずつ移動していきます。ものすごい重量を持った建物が動いていくので、本当に現実なのか疑いたくなるような光景です。少し移動したらコロを調整、また少し動かて調整…と根気の必要な作業ですが、時を忘れて見入ってしまいました。1日で10m程動き、最終的には40m程動きます。そして新しく基礎を施工し、その上に建物を着地させる、という計画です。まだまだ先は長いですが、工事が無事に終わることを願って現場を後にしました。